生地と乾燥

読むことは人を豊かにし、話し合うことは人を機敏にし、書くことは人を確かにする。

20130402読書記録 -砂の審廷

砂の審廷―小説東京裁判 (ちくま文庫)

砂の審廷―小説東京裁判 (ちくま文庫)

 

最初の方の記録部分は先が見えなくて、かつ東京裁判の手続的問題点や弁論準備などの状況説明が中心で読みづらかったが、後半の大川周明の訊問部分は当時の思想や事件の背景などが詳細に見えて興味深かった。

「日本史読本」の最後の章「第二の改革に直面する日本」の抜粋には、震えが来た。民主主義はダメなんじゃないか、カリスマが必要なんじゃないかと考える、現代にも重なる。以下、抜粋。

 

満州事変勃発以来、国民は鋭く日本が非常の場合にあることを理解し始めている。徹底した国家改造の必要性が鋭く感じられてきた。そうして昭和の改革(注。昭和維新)を求める大きな叫びがくり返し聞こえている。国民は今、天皇御自身による直接的統御という信条に従いたがっている。国民は、国家的政策よりも党利を重んじる政党の政略から起きる悪習をとり除きたいと思っている。国民は、国家全体の人々の考えがひとつに結ばれるという真に日本の政治の現実を要求している。また、資本経済の利用をやめることによって国民生活を安定させ、真に日本にふさわしい経済が実現することも要求している。また国民は、日本の基礎となる精神や、日本国家の本質や、日本人の理想を教えることによって、本当の日本人を育成することを求めている。これらの要求は正当な要求である。彼らは、たとえ現状維持を望む人々がそれに対抗し服従させようとしても、この願望に満足するだろう。日本は現在、第二の改革へ向かっている。